関西学研都市にインドのIT企業誘致へ

 IT(情報技術)分野の研究機関や企業などが集積する「関西文化学術研究都市」が、驚異的な成長を続けるインドのIT企業の誘致活動に乗り出すことが29日、分かった。首都圏など日本に拠点を置くインド企業に対し、ソフトウエア開発や人材育成などを目的に関西への進出を呼びかけ、国際的な研究開発拠点として機能強化を目指す。

 インド企業の誘致に乗り出すのは、学研都市に関する調査・研究や、新産業の創出に取り組んでいる関西文化学術研究都市推進機構や、企業や研究機関の交流施設などを運営している「けいはんな」。

 技術力が高いインドのIT企業の誘致は、関西学研都市としてもメリットが大きいと判断、関西経済連合会とも連携して、関西への拠点整備を働きかけていくことにした。

 具体的な誘致活動の第1弾として、11月6日に関西学研都市のけいはんなプラザ(京都府精華町)で、首都圏に拠点を置くインド企業30社と関西の企業・研究機関などの交流促進に向けたセミナーを開催。

 東京にあるインド大使館や大阪のインド総領事館の関係者にも施設などを視察してもらう。研究内容を詳しく知ってもらうことで、本格的な日印間の経済交流やインド企業誘致の足がかりにしたい考えだ。

 学研都市の関係者は「首都圏に拠点を構えるインド企業の間では、研究開発パートナーや取引先の新規開拓のため、関西への進出意欲が高まっている」と期待する。

 関西学研都市は、中国のシリコンバレーと呼ばれる北京市中関村科技園区と交流促進協定を結んでいるほか、韓国の大田広域市大徳研究開発特区や、台湾の新竹科学工業園区といったアジアのサイエンスパークとも積極的な交流促進を進めている。

 インド企業の進出を促進することにより、アジアのIT産業拠点としての機能を強化し、関西産業全体への波及を狙う。

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 【用語解説】関西文化学術研究都市

 京都、大阪、奈良にまたがる地域に文化、学術、研究に関する新しい拠点エリアとして、産学官が連携して整備。人工知能や次世代通信網を研究する国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、多言語翻訳や立体映像の研究に取り組む情報通信研究機構けいはんな研究所(NICT)、情報科学研究科を擁する奈良先端科学技術大学院大学などの研究機関が集積しているほか、NTTやNECなど、民間企業も研究所を設けている。