吉本興業株式のTOBが成立

 前ソニー会長の出井伸之氏が社長を務める投資会社「クオンタム・エンターテイメント」(東京都)による吉本興業の株式公開買い付け(TOB)が成立したことが30日、分かった。TOBは9月14日から今月29日まで、1株あたりの買い付け価格1350円で実施。成立の下限としていた70%を上回り、80%を超える応募があったもようだ。クオンタムなどは同日午後にも結果を正式発表する。

 クオンタムには、フジ・メディア・ホールディングスなどの在京民放テレビ局5社、通信大手のソフトバンクやヤフー、広告代理店最大手の電通といった企業などが計240億円を出資。金融機関からの借り入れ最大約300億円と合わせて買い付け資金などに充てる。吉本の現在の筆頭株主で創業一族の関連会社、大成土地(大阪市中央区)も加わる。

 クオンタムは吉本の全株取得を目指しており、今後はTOBに応じなかった残りの株主からも強制的に買い付けを行い、吉本を完全子会社化して非上場化する計画だ。全株取得後にクオンタムが吉本を吸収合併する予定だが、合併後も「吉本興業」の社名は残る。