<殺人被害者遺族の会>ロス事件・白石千鶴子さんの姉が入会

 79年に米ロサンゼルス近郊で変死体で見つかった白石千鶴子さん(当時34歳)の姉で、米国に住むファッションデザイナーの美佐子さん(73)が、凶悪事件の公訴時効撤廃・停止を求めている「殺人事件被害者遺族の会(宙=そら=の会)」(宮沢良行会長、22事件の家族で構成)に入会した。殺人の時効がない米国での経験を踏まえて協力する。

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 ◇殺人の時効ない米国「私は救われた」

 千鶴子さんは、昨年10月にロサンゼルス市警の留置場で自殺したとされる元社長(当時61歳)の元交際相手で、79年5月、ロス中心部から北西に約35キロ離れた荒れ地で死亡して見つかった。81年に銃撃され死亡した元社長の妻の事件とともに、「ロス疑惑」の一つとして日米当局が捜査したが立件されなかった。

 美佐子さんは76年から米国在住。年1回は帰国し、山口県にある千鶴子さんの墓参りをしてきた。その際に警視庁に足を運ぶこともあったが、日本では15年の時効が成立しており、「『捜査本部は解散した』と言われ悔しい思いをした」と言う。

 ところが、08年2月、事件から約30年たって元社長が米当局にサイパンで逮捕された後、ロス市警や検察で事件当初から捜査に当たっていたジミー佐古田氏らが、ニューヨークの自宅を訪ねてきた。「新しい証拠が見つかったから、捕まえに行く」と言ったという。

 美佐子さんは「30年も捜査を続け、見捨てられていなかったことに感激した。時効がない米国では法律によって日本人も守られていたことがわかり、気持ちの中でけじめがついた」と振り返る。

 来日中の今月28日、宙の会の宮沢会長、小林賢二代表幹事らと面談し、「日米の時効の差を知る遺族として、日本の遺族の役に立ちたい」と協力を申し出た。「時効がないことで、私は救われた。日本でも時効は廃止すべきだ」と話した。

 同会には、千葉県市川市で07年3月に殺害された英国人英会話講師、リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22歳)の父親も入会している。英国にも時効はない。【山本浩資】