【仕事人】夫婦の修復師 Re婚カウンセラー・鈴木あけみさん(52)

 年間25万1136件(平成20年)。いまや3組に1組が離婚するといわれる日本。バツイチやシングルマザーといった言葉も定着した。名刺には「Re婚カウンセラー」とある。

 「誰だって離婚なんて経験したくない。できれば修復した方がいい。だから『もう一度』という意味を込め離婚カウンセラーでなく、Re婚」

 「Re」の2文字には、相談者に有利な離婚方法をアドバイスしがちな離婚カウンセリング界にあって、「初婚はお試しという風潮そのものを変えたい」という思いが込められている。

  [フォト]カウンセリングは、リラックスできるホテルの喫茶店などで

 横浜市生まれ。高校卒業後、女性の美を追求する美容カウンセラーとなった。初めての結婚は27歳、相手は連れ子がいるバツイチ。「押し切られしてしまった」という結婚は、思い描いた幸福とはほど遠いものだった。ほどなく夫の借金やDV(ドメスティックバイオレンス)が始まり、髪を燃やされたこともあった。

 血のつながらない長女を引き取り、ようやく7年間の結婚生活にピリオドを打った。

 「離婚に踏み切れない多くの女性と同じく、『自分が悪いのかも』『別れた後、相手が生きていけないのでは』という思いから、離婚成立までに4〜5年かかった」

 38歳で現在の夫と出会い再婚、41歳で長男を出産した。保育サークルを立ち上げたところ、豊富な経験を買われ、ママ友から夫婦の悩みを打ち明けられるようになり、本格的に離婚カウンセラーを目指すようになった。

 18年に相談ウェブサイトを立ち上げ、歯にきぬ着せぬ物言いと、的確なアドバイスから瞬く間に月100件以上の相談が殺到する人気カウンセラーになった。

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 代表を務める結婚相談事務所「オフィスベル 新横浜」には、年間1000件を超える依頼が寄せられている。その大半が20〜30代の若い夫婦たちだ。

 「昔は親から『嫁いだなら実家の敷居をまたぐな』といわれたが、いまは『いつでも帰っておいで』という風潮。社会も離婚がまるでかっこいいことのように扱う。でも、相談者たちの半分以上は『修復したい』というわらにもすがる気持ちから訪れているんです