森林組合で不正受給 大分、数千万 沖縄、690万 検査院指摘

 おおいた森林組合大分県由布市)の元造林林産課主幹(39)=今年5月に懲戒免職=が架空の間伐作業を捏造(ねつぞう)し、作業費数千万円を横領していたことが会計検査院の調査で分かった。沖縄県森林組合連合会が平成19〜20年にかけて林野庁の委託を受けて行った研修会の経費を水増しし、約690万円を不正に受領していたことも判明。こうした委託事業に関しては、地元の県が正しい請求をしているか事後検査するが、いずれも形骸(けいがい)化していた。

 おおいた森林組合で元主幹が架空の作業費を水増ししていたのは、検査院の調査結果では約4200万円。森林組合によると、これまでに元主幹は約900万円を返済しているという。

 元主幹は間伐作業をでっち上げて書類を捏造。架空の申請書類を大分県に提出する手口や、委託費算定の基礎となる作業面積を水増しする方法で、18年2月から20年9月の間、作業費の横領を繰り返していた。会計検査院が昨年9月に実地検査した際に発覚した。

 一方、沖縄県森林組合連合会はUターン者やIターン者を受け入れ、20日程度の集合研修と3カ月ほどの実地研修を行う「緑の雇用担い手対策事業」で、講師の出席日数や機械経費、研修回数や研修生の数を水増しするなどして、計約690万円を不正に受け取っていた。

 全く研修生が参加していない月に参加したことにして委託金を受給していたケースもあった。

 おおいた森林組合は「発覚した際は、まさかという気持ちだった。県と協力し、チェック態勢を強化するよう努めたい」、沖縄県森林組合連合会は「返還する方向で林野庁と話し合いを進めている」と話している。

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 ■氷山の一角 モラル頼み

 今回発覚した大分県沖縄県森林組合の委託費の不正受給について、関係者は氷山の一角だと受け止めている。

 沖縄県のケースは、不況を背景に農林水産省が平成10年から始めた「緑の雇用担い手対策事業」が不正の温床となった。

 緑の雇用担い手対策事業は都市部からのUターン、Iターン者を対象に、森林作業に従事し、事業が終わればそのまま森林組合に就職するなど、地域に定着することが見込まれている人を対象に行われる事業だ。

 集団研修や実地研修を通じて技術を習得した若者を増やすことで、過疎化、高齢化した地方の後継者不足を解消し、不況で職